ジャパン・ワイルドファウル・カービング・コンペティション2018(木の鳥グランプリ)を終えて
昨年12月22日、23日、第1回のジャパン・ワイルドファウル・カービング・コンペティション(以下JWCC)が開催されました。そのタイトルからそうであるように、このコンペティションは、アメリカのWard World Championship Wildfowl Carving Competitionを参考としている面があります。そもそもその動機はというと、少々おこがましいかと思いますが、日本のバードカービングの「技術と意識の向上」と、その普及でした。「意識」とはバードカービングをアートとして捉え、作品としてどう構築したらよいのか、ということです。アメリカでの作品を長年見てきていると、その差は縮まるどころかむしろ開いてきていると感じます。アメリカで見る作品の完成度は年々高まっているのに、日本のそれは停滞しているように思えたからです。これではいけないと思い、それを改善し良い方向へ向けるのには、コンペティションという形でお互い競いあうことで、意識変化をもたらしたかったからです。
そういう意味からすると、今回このJWCC2018を開催して、少しはその効果があったかなと、審査をしたことを通して感じました。審査は、3人1組で完全な話し合いによって行いました。ひとつひとつの作品を同時に見て周り、その作品のどこが良くてどこがよくないかを議論し、その結果優秀作品を選びました。審査は公開なので、その周りは人々が集まって審査の様子を聞いています。これこそが生きたテキストのはずなのです。ですから、実際に出品された方から、「あそこまで話されているのだったら納得しました」というお声をいただきました。
とはいえ、課題も残されました。出品いただいた作品数は全体で100点に満たず、その数は見込みより大きく下まわったものでした。会場の盛り上がりという点でも作品が多く並んだ方がよいのはもちろんですが、運営する予算面で大きな打撃を受けました。実行委員会としては予算の立て方の見直しを図るのは必須とされますが、バードカービングを愛好する方のひとりでも多くの方に、ご参加いただくことを要望いたします。
次回は、年をまたいで2020年3月を予定しております。ぜひともみなさん、第2回のJWCC2020では自信作をご出品して、ご参加ください。心よりお待ち申し上げております。
2017年末、このコンペティションを開催することを思い立ち、まず実行委員会の委員の選考から始まり、先月の開催に至るまで怒涛の1年間でした。実行委員会は計7回を開催し、そこでは重要な案件を協議・決定し、その合間で細かい調整や実務を事務局でこなしました。自分の教室の展示会こそ実績があるものの、全国の一般の方の作品を募集し、しかもコンペティションという形で開催するのは、その業務と責務たるやこれまでの展示会と比して何十倍ものエネルギーが必要でした。それを可能にしてくれたのは、まさに実行委員の方々と実務を担ってくれた事務局のスタッフの力添えがあってこそのことです。しかも、みな交通費すら出ない完全無給で、まさに手弁当で支えてくれました。また、当日会場の係りを担当してくれたボランティアの方々、快く引き受けていただいた審査員の方々と表彰式の司会者の存在も欠かせません。この紙面を借りて、このコンペティションを支えていただいたすべての方に心より感謝の意を表します。
2019年1月11日
JWCC実行委員会 代表 鈴木 勉
実行委員:飯塚 利一(日本野鳥の会)
岡安 栄作(日本鳥類保護連盟)
志水 謙祐(文一総合出版)
鈴木 勉(鳥の工房つばさ)
松村しのぶ(海洋堂、動物造形作家)
事務局 :池田奈保美
梅川 篤子
審査員 :叶内 拓哉(野鳥写真家)
川上 和人(森林総合研究所、鳥類学者)
鈴木 勉
長島 充(版画家)
松本 浩(バードカーバー)
松村しのぶ
表彰式司会:加藤 えり(フリーアナウンサー、ソープカーバー)
入賞者一覧
部門 |
カテゴリー | 順位 | 名前 | 鳥の名前 | 番号 |
コンペティション部門 | ライフサイズ | 最優秀賞 | 須崎 俊哉 | ヤツガシラ | CL1081 |
2位 | 下田 修 | オオタカ | CL1041 | ||
3位 | 岩橋 徹 | サンコウチョウ ペア | CL1231 | ||
秀作 | 小山 正文 | オオミチバシリ | CL1261 | ||
秀作 | 山口 良一 | ヤマセミ ペア | CL1062 | ||
秀作 | 梅川 篤子 | ツグミ | CL1291 | ||
秀作 | 植木 強 | ヘラシギ | CL1192 | ||
秀作 | 上中 悟 | カケス | CL1141 | ||
秀作 | 川上 岳郎 | カイツブリ | CL1161 | ||
ミニチュアサイズ | 最優秀賞 | 平野 元子 | アメリカワシミミズク | CM1071 | |
2位 | 池田 奈保美 | コアホウドリ | CM1091 | ||
3位 | 池田 奈保美 | シロハヤブサ | CM1092 | ||
秀作 | 梅川 篤子 | メンフクロウ | CM1292 | ||
秀作 | 須崎 俊哉 | オシドリ | CM1082 | ||
秀作 | 中澤 健 | カイツブリ | CM1372 | ||
秀作 | 堀部 勇 | ウミウ | CM1051 | ||
秀作 | 佐藤 善紀 | カササギ | CM1382 | ||
秀作 | 渡邉 敏治 | イヌワシ | CM1551 |
ステップアップ部門 | ライフサイズ | 最優秀賞 | 蓼沼 ナツ | ヒバリ | SL1331 |
2位 | 石井 文江 | ホントウアカヒゲ | SL1272 | ||
3位 | 小野崎 正樹 | コチドリ | SL1391 | ||
秀作 | 中村 直彦 | キクイタダキ | SL1201 | ||
秀作 | 吉川賢二 | エナガ | SL1541 | ||
秀作 | 根津 愼太朗 | メジロ | SL1111 | ||
秀作 | 青木 豊彦 | スズメ | SL1471 | ||
秀作 | 今井 勝 | モズ | SL1251 | ||
秀作 | 石井 文江 | ノグチゲラ | SL1272 | ||
ミニチュアサイズ | 最優秀賞 | 小野崎 正樹 | コミミズク | SM1391 | |
2位 | 久保田 栞 | ケツァール | SM1031 | ||
3位 | 該当者なし | ||||
ウッドスカルプチャー部門 | 最優秀賞 | 小山 正文 | メンフクロウ | WS1261 | |
秀作 | 柳沢 祥雅 | カワウ | WS1401 | ||
秀作 | 恩田 みどり | 海へ(マゼランペンギン) | WS1321 |